前回、家電修理の物の流れ(部品の調達方法)等について説明しましたが、今回は修理にあたり、故障個所を特定する方法について根本的な考え方を解説しようと思います。色々な機器に関係なく、今回は故障個所の特定方法についてお話ししようと思います。
もくじ
ご注意
家電修理の考え方について個人的見解を述べている文章になります。修理を自分で行う事に関するリスク(さらなる故障、火災等)を十分にご理解いただいた上でご自身の判断にてお願い致します。本内容を実践したことに関して生じるいかなる損害についても責任を負うものではありません。
まずは故障の分類から
どんな壊れ方をしているのか、それによって修理方法は変わります。まずは故障の種類の分類をします。
1.機械的・物理的な故障
見た目(目視)で判断が可能な故障です。例えば、「液晶が割れた」とか、「フィン(羽根)が折れた」などがこれらにあたります。
2.電気的な(電子回路含む)故障
見た目で判断がつく場合もあれば、分解・調査してみないと判断がつかない場合があります。また、原因特定に時間がかかりすぎる場合は基板交換等の処置を行ってどうなるか(直るか、直らないか)を判別することもあります。
3.制御・ソフトウェアの故障
見た目では殆ど判断できません。稀に、設計者が想定外の使用方法により発生した不具合だと、見た目的にも判断できることもあります。例えば「ロックしたまま扉が開かない」等です。しかし、多くの場合は検証に開発環境が必要となるため、ユーザー側での原因特定は難しいです。交換してみてどうなるかの判断で修理を行うことが多いです。
修理可否判断について
故障の分類を分けたら、次に修理可否判断を行います。実際に自分で修理するのかどうかを判断します。また、全体として言えることですが、部品が入手可能かどうかも判断する必要があります。
1.機械的・物理的な故障の場合
故障している部品を交換することで修理可能です。ですが、交換可能かどうかを判断する必要があります。取外しに専用工具・専用治具(専用設備)が必要である場合は自身での修理不可能となります。例えば、スマートフォンの液晶は一般的な工具のみでは修理不可能なため、専用リムーバー等が必要となります。
作業手順がどうなるのかを想像することが大切ですね。
2.電気的な(電子回路含む)故障
機械的故障に比べ、難易度が上がります。なぜならば、見た目で故障の判断ができないことがあるため。
部品の知識が必要
電気・電子の知識が必要となります。よく『コンデンサ交換したら直った』のようなものがあります。確かに電源回路におけるコンデンサ原因の故障はありますが、コンデンサも色々種類があるため、用意するコンデンサも選定をする必要があります。
部品の種類から知りたいという方は下記のような本がお勧めです。
電子回路の知識が必要
電子回路の知識が必要になります。前述したように電源回路のコンデンサの故障が多い場合、まずはコンデンサを交換してみる等、消去法で部品を交換していくこともあります。
昔であれば回路図や資料をメーカーのサービスからいただく事も可能なことがありましたので、一度問い合わせて、いただくこともできるかもしれません。(コピー等は有償であったりします)
上は古いテレビの実際の回路図になりますが、ICの端子にうっすらと数字が書いてあったりします。指定条件下での電圧や波形が回路図にはヒントとして載っていたりします。回路図で故障を探す場合は結構ヒントになったりします。
ただし、回路図を貰えるかどうかはメーカーの考え方次第の所もあります。回路図のコピーをいただけないメーカーもありますので、その辺はご注意ください。
3.制御・ソフトウェアの故障
順番でいくと一番最後に行きつく所になります。パソコンでHDDの内容がクラッシュした場合等がこの故障原因に当てはまります。
近年、どんどん複雑化をしているため、基本的に使用者側でできることは「初期化」や「再インストール」になり、それ以上はあまり出来る事が無いのも実状です。
ただ、「何をした時」に「どうなったのか」は原因を突き止める上で重要になることがあります。「A」をした時に「B」となり「画面が固まった」であれば、メーカー側のバグ(設計上の不具合)になることがあり、設計不良によるためメーカー側で対応してもらえることもあります。
修理は「流れ」を掴む事が重要
『電気的な(電子回路含む)故障』や『制御・ソフトウェア故障』の修理においては特に大切な考え方ですが、「流れ」を掴む事が重要です。家電はコンセントや電池を動力として、「何か」を行い、人にその結果を提供してくれます。
液晶テレビを例に 「液晶テレビが映らない」「電源を入れたけれど、電源ランプもつかない」という故障を例にしてみると、流れはそれぞれこのようになります。
そこで、概略的に液晶テレビの動作を表すと下のようになります。
この場合、「コンセントを挿したけど全く動かない」という場合は、コンセントから受け取った直後の「電源回路」を真っ先に疑うべきとなります。
このように、流れから原因を掴むことが重要となります。
まとめ
大まかな故障原因の特定方法について解説をしていきました。具体的な修理に関しての知識について解説してみたいと思います。